「・・・っつぅ!!」


吹っ飛ばされる、そんな表現がまさに的確だろう。
清正は拘束された手でろくに受身をとることもできず、そのまま地面に顔面を突っ伏せた。


三方ヶ原での決戦は見事西軍の勝利で終わった。
東軍に加担した清正は敗軍の将のとして三成の陣営に捕えられ、今は己の処罰が下るのをじっと与えられた馬小屋のような一室で待っているところだった。
遠くの方からは勝利の宴を催しているだろう喧騒が聞こえる。
正則は他の将たちもどこかに捕らわれているはずなのだが、生憎彼らがどこにいるのか知ることはできなかった。
ただ正則や己の斬首はほど確実だろう、そうボンヤリと考えていた。
何がどうなってこうなったのか、己の選んだ道をひどく落ち着いた様子で振り返っていた。
もはや自分には関係のないことだ、と。
三成が新しい世をつくり、敗軍の将はここで消えうせる、それだけのことだと自嘲気味なと笑みを浮かべたところで、荒々しく戸を開ける音がした。
既に日は沈み、灯りはわずかに月の光を残すのみとなっていたが戸の前に立つ人物がだれであるかはすぐにわかった。
今更彼には会いたくなかった。
筋の通った鼻筋に切れ長の目、薄い唇にこげ茶色の髪、爽やかな容貌に鍛え抜かれた体躯、整いすぎているほど整っている容姿の青年。
そして三方ヶ原の戦において自分を完膚なきまでに打ち負かした男。
立花宗茂の姿がそこにあった。


宗茂は明らか怒りの感情を露わにして、手を拘束された上に戦で受けた(主に宗茂からではあるが)傷のせいで身動きもままならない清正を容赦なく殴りつけた。
それがつい先ほどのことだ。
清正が何とか顔だけを宗茂のほうに向け、非難がましい視線を向けると自分に馬乗りになった宗茂に胸倉を掴まれさらにもう一発殴られた。
「宗っ・・茂・!!」
いくらなんでも宗茂に無言でで2度も殴られるのは理不尽だ、と抗議の声を上げようとすると3発目を食らわされた。
「話は容赦なく叩きのめしてからだ、と言っただろう?」
普段彼の妻である立花ァ千代や他の女子には決して見せないような冷めた瞳で自分を見下ろす宗茂の姿に清正は辟易する。
彼はいつもそうだ。
自分の思惑と外れたことを己がするのをひどく嫌う。
さらに抵抗などしようものなら彼は更なる力をもって押さえつけることで対処しようとする。
それがまた腕に自身のある清正ですら手を出せないほどの強さであったりするので厄介なのだ。
所詮は島津義弘の言うように”坊ちゃん”でしかないのだ。
今回のように清正が東軍についたのは相当に癪に障ったのだ、だからこんな暴力を奮われるのだ、と清正は自分に言い聞かせて歯を食いしばる。
口の奥から血の味がした。
戦場でもさんざん叩きのめして、この後に及んでまだ足りないというのだろうか、そう幾分かの怒りを感じても手の拘束も、宗茂の理不尽な怒りも収まるはずはなく、ここはただ瞳を閉じて苦痛に耐えようとしたところで、口の中に何か生暖かいものが割って入ってきた。
「ん・・・ふぅっ・・・やめろっ!!」
歯を割って、口内を犯す宗茂の行為に清正は精一杯の抗議のつもりでその胸を押しのけた。
「血の味がするな。」
肩で息をする清正の耳に低く、艶のある宗茂の声が響いた。
「誰のせいでっ・・・!!」
抗議の声を上げるよりも早く宗茂の手はいつの間にか清正の下肢に伸ばされていた。
大きく逞しい手が清正のそれを取り出し、冷たい外気に触れたことで一瞬強張ったものを包んで扱きあげる。
「やっ・・・何してんだっ・・・てめぇは!!」
そう悲鳴にも似た怒鳴り声を上げたときには体をひっくり返され、後ろの蕾に宗茂の指が挿入された。
乱暴に中を掻き乱す動きに清正は眉を顰め苦痛に耐える。
快楽など与えるつもりはないのだ。
むしろ宗茂の嗜虐的な意思をその性急な指の動きから感じとった。
その予想が図星だとでもいうかのように清正が苦痛に慣れるよりも早く、指が引き抜かれ気づけば宗茂のそれが宛がわれていた。
宗茂と唇を合わせたこともそういう直接的な行為に達したことも今までにも何度もあった。
宗茂が己の恋人であるかどうかは別として、確かに体を重ねたことは何度もあったし、常に自分がこちら側であったのも事実だ。
だが、まさかこの後の及んでまで己が宗茂がそういう行為に至るとは予想していなかったし、望んでもいなかった。
「冗談じゃねぇえっむねっ・・・っああっ!!」
怒りを露わに宗茂の名を清正が呼び終えるより先に宗茂の雄が清正の中を貫いた。
「いっ・・・ぐっぅ・・・」
幾月かぶりに宗茂を受け容れるそこはほとんど何の準備もされずに貫かれたことと重なり、悲鳴を上げて異物の侵入を拒んでいた。
それでも宗茂は強引に奥へ奥へと進めていき、鋭い痛みから中が傷つけれれたのがわかった。
全身から嫌な汗が出て、生理的な涙が目尻から零れ頬を伝う。
「流石にキツイな。」
「・・・抜けっ!!馬鹿っ・・・」
完全に宗茂のものが収まったところで、涼しげな宗茂の声が後方でした。
苦痛に耐える顔など見られたくないと顔を腕に埋めたまま、苛立った声を清正が上げると中の律動が開始された。
「うっ・・・あぁっ・・・ぁあっ・・・いたっ・・・」
先ほど傷つけられたところから血が流れ、それが皮肉にも潤滑油代わりになり宗茂の雄を幾分容易に抜き差しさせていた。
それでも清正が受ける苦痛は先ほど指が挿入されたときとは比べ物にならないほどのもので、目の前にちかちかと火花が飛び散り、声を上げまいと必死で閉じた口からも時折、呻きとも悲鳴とも付かぬ声が漏れる。
「・・・死ぬっ・・・ああっ・・!!」
宗茂の動きがより一層激しくなり、もはやこれ以上意識を保っていられないと思ったとき中に熱いものが解き放たれた。
ずるりと内臓を引きずられるような感覚とともに宗茂の雄が引き抜かれると、中から紅い血と相混ざった白獨液が内股をつたった。
すぐにでもそれを拭い去りたいと思うのに体は指一本でも動かすのが億劫で、清正はそのまま地面に突っ伏した。
すると宗茂が先ほどとは打って変わった様子で丁寧な手つきで清正の後始末を始め、清正も特に抵抗しなかった。
その間中宗茂も清正も一言も交わさず、遠くで宴の声が聞こえるだけだったが、宗茂が拘束された清正の手を伸びてきてそれを解いたとき清正がうつ伏せたまま静かに息を吐いた。
「・・・いたい・・・。」
宗茂の気配がすぐ近くでしたが、清正が顔を上げる気配はない。
「尻がいたいし、体もいたい。もうガタガタだ・・・。」
昼間は腕っぷしで叩きのめされ、夜は夜で叩きのめされた相手への当て付けのように呻き声を上げる。
ここまで徹底的にやられて、今の清正には立花宗茂の前ではる矜持など存在しなかった。
「でも・・・」
宗茂が今どんな表情をしているのか、腕に顔を埋めたままでわからなかった。
先ほどのまま怒気を孕んだ表情をしているのか、いつものうに涼しい顔で惨めな己を見下しているのか。
それでも吐かずにはいられなかった。
こんな弱音を吐く者は己が最も忌み嫌う部類ではあるのだが、その意志を支える矜持すらこの男に折られてしまっていた。
「何よりも、心が・・・痛い。」
肩そ震わせ気づけば泣いていた。
顔を上げて宗茂の様子を伺えばそれがばれてしまうので、清正は顔を埋めたままにしていた。
それでも肩の震えが止まらず、何とかそれを止めようと全身に力を入れると不意に頭上に体温を感じた。
「宗茂っ、・・・俺が馬鹿だった。」
その温かみにさらに鼻の奥がつんと引っ張られるような感覚がした。
「それでいい、清正。馬鹿やれるのは人間だけで、人間はやりなおせる、そう俺は言っただろう?」
「でも、もう終わった。俺は弱い。自分で自分の家を壊してしまった。」
大きな手が銀色の短髪をくしゃくしゃと弄ぶかのうに掻き乱す。
「意地を張るな、清正。お前まだこの乱世の終りを見ていない。まだお前にはやることがある。三成が壊れた家を建て直すんだ、ちゃんと手伝ってやれ。」
いつになく優しい宗茂の声音からは先ほど頭の中で想像した怒気を含んだ顔も、冷たい表情も、どちらも今の宗茂の表情ではないような気がした。
それよりも頭を乱暴に撫でる宗茂の手からなんとなく彼がこのような強行に及んだ理由がわかったような気がして、さらに肩の震えが止まらなくなった。
たぶん半分くらいは清正が予測したとおり、単純に怒りからしてのけたのだろうが、半分はきっと清正に己の弱さを受け容れさせるためにしたのだろう。
弱さを受けれても尚、この乱世を終わらせ、新しい世を生きるために。
「お前はまだ生きてる。死ななかった。それは生きて成すことがまだあるからだろう。」
己が台無しにしたと思っていた秀吉様の天下はまだ受け継がれていけるのだ、まだ終りではない。
ならばやり直せ。
そう宗茂に言われているようだった。
「・・・うっ・・・」
嗚咽が堪えきれず喉を伝ってでて、今宗茂の顔を見たいと思ったがどうしてもこの泣き顔を宗茂に曝すのは憚られて、結局突っ伏したまま泣き続けた。
きっとこんな姿、宗茂以外には見せられないと思いながら。










                

「叩きのめす」を性的な意味でとってしまったのは私だけですよね?≡つ)゚∀゚)フゴ:∵
バイオレンス宗茂LOVEです。愛があればいいんです←
宗茂は飴と鞭の法則で清正を手なずけていきます。

[2010年 1月 17日]